第4章 関数
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4.1 関数のグラフ
何か数を与えると、その数に応じて何か決まったひとつの数を返すような、対応関係のこと(定義)
数式で表せないものもある
関数の一般的な性質を語る時は$ y=f(x)と表すことが多い
自然現象や社会現象の多くは関数で表現され、関数で予測される
そのための数学、つまり関数を扱う数学を「解析学」という
なお、この章では出てくる数はすべて実数とする
独立変数がどんな値でも、従属変数の値がいつも同じ定数であるような関数(定義)
e.g. $ y=1\qquad(4.1)
次に単純なのは$ y=ax\qquad(4.2)
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($ y=2x)
この関数のグラフは原点を通る直線になる
$ aは定数
$ y=axのような関数で対応付けられた$ xと$ yの関係を、比例関係とか「$ xと$ yは比例する」という(定義)
$ y=2x+1は比例関係ではない
原点を通る直線だけが比例関係
$ y=x^2\qquad(4.3)
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$ y=\frac{1}{x}\qquad(4.4)
$ 0での割り算は許されないので、$ x=0のときに値を持たない
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「$ xが無限大に行く極限では$ 1/xは$ 0に収束する」と言ったり $ x\rightarrow\inftyのとき,\frac{1}{x}\rightarrow0\qquad(4.5)
あるいは
$ \lim_{x\rightarrow\infty}\frac{1}{x}=0\qquad(4.6)
特定の状況に限りなく近づけていくこと
一般に$ aを($ 0以外の)定数として
$ y=\frac{a}{x}\qquad(4.8)
のような関数による$ xと$ yの関係を「反比例関係」とか「$ xと$ yは反比例する」という(定義)
以上の関数は、$ aを定数、$ nを整数の定数として、次式のように統一的に書ける
$ y=ax^n\qquad(4.8)
$ aや$ nのようなグラフの形や関数の性質を決定するような定数
「パラメータが変わると関数はどう変わるか」を理解できれば「この現象はこのような関数で表現できるのでは?」という勘が働くようになる
平行移動・拡大縮小・対称移動
$ y=f(x)\qquad(4.9)
$ x軸の正の方向に$ a, $ y軸の正の方向に$ bだけ移動すると
$ y=f(x-a)+b\qquad(4.10)
なぜか
$ y=f(x)の上の任意の点$ \mathrm Pを考える$ (x_0,y_0)
$ y_0=f(x_0)\qquad(4.11)
移動後の点を$ \mathrm P'とする$ (x_1,y_1)
$ x_1=x_0+a\qquad(4.12)
$ y_1=y_0+b\qquad(4.13)
すなわち
$ x_0=x_1-a
$ y_0=y_1-b
これを式(4.11)に代入して
$ y_1-b=f(x_1-a)\qquad(4.14)
すなわち
$ y_1=f(x_1-a)+b\qquad(4.15)
一般に関数$ y=f(x)のグラフに関して以下の定理が成り立つ
(定理1) $ x軸の正の方向に$ a, $ y軸の正の方向に$ bだけ平行移動すると$ y=f(x-a)+bのグラフになる
(定理2) $ x軸方向に$ a倍すると、$ y=f(x/a)のグラフになる($ a\neq0とする)
(定理3) $ y軸方向に$ a倍すると、$ y=af(x)のグラフになる
(定理4) $ x軸に関して対称移動すると、$ y=-f(x)のグラフになる
(定理5) $ y軸に関して対称移動すると、$ y=f(-x)のグラフになる
(定理6) 原点に関して対称移動すると、$ y=-f(-x)のグラフになる
例4.7 関数$ y=(x+1)/(x-1)のグラフ
$ y=\frac{x-1+2}{x-1}=1+\frac{2}{x-1}\qquad(4.16)
これは$ y=1/xのグラフを$ y軸方向に2倍し、$ x軸の正の方向に$ 1、$ y軸の正の方向に$ 1だけ移動したもの
それにともなって漸近線も平行移動する
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4.3 1次関数と直線のグラフ
$ a,bを実数の定数として($ a\neq0)
$ y=ax+b\qquad(4.17)
$ x=0のとき$ y=bなので$ (0,b)
定数$ a
y切片と傾きが定まれば1次関数は定まる
点$ (x_0,y_0)を通り、傾き$ aの直線の関数
$ y=a(x-x_0)+y_0\qquad(4.18)
2つの点$ (x_0,y_0)と$ (x_1,y_1)を通る直線の関数
$ y=\frac{y_1-y_0}{x_1-x_0}(x-x_0)+y_0\qquad(4.19)
筆者が考えた華氏→摂氏の暗算可能な近似計算法
華氏温度から$ 32を引く
それを半分にする
それに1割を加える
たとえば華氏74度
$ 74-32=42
$ 42\div2=21
$ 21+2.1=23.1
この計算式は$ -10^\circ\mathrm Cから$ 30^\circ\mathrm Cまでの範囲なら、誤差は$ 0.3^\circ\mathrm C程度
4.4 関数の和のグラフ
よく知られた関数の和で表される関数のグラフは、それぞれの関数のグラフを積み重ねるようにプロットすることで描くことができる
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4.5 グラフの読み取りと直線近似
実験結果を解析したり表示するときにも使う
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この実験では$ xと$ yの2つの数値がペアになったデータが得られている
目盛りの間隔が広いので大ざっぱな値しかわからない
正確な値を得るには定規を使う
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線分PQの長さ$ \overline{\mathrm{PQ}}と線分PAの長さ$ \overline{\mathrm{PA}}をそれぞれ定規で測る
Aの$ y座標の値は
$ \frac{\mathrm{\overline{PA}}}{\mathrm{\overline{PQ}}}(300-200)+200\qquad(4.21)
$ x座標も同様の方法
4.6 関数のグラフと, 方程式の解
いくつかの独立変数$ x,y,\cdotsの関数$ f(x,y,\cdots)について$ f(x,y,\cdots)=0という形にできる式を方程式という(定義)
ここでは独立変数が$ 1個の$ f(x)=0という形の方程式を考える
$ f(x)=0について、$ x=x_0が解なら$ f(x_0)=0
したがって点$ (x_0,0)は関数$ y=f(x)のグラフ上にある
すなわち、この点は関数のグラフと$ x軸との共有点(交点または接点)
逆にこの関数のグラフと$ x軸の共有点の$ x座標は、方程式$ f(x)=0の解
これを利用して、様々な関数のグラフの概形を描ける
例4.9 関数$ y=x^3-x
$ x^3-x=0の解は$ x=-1,0,1
この3つの$ x座標でグラフは$ x軸と交わる(または接する)
一方、$ x\rightarrow\inftyでは明らかに$ y\rightarrow\inftyであり、$ x\rightarrow-\inftyでは明らかに$ y\rightarrow-\infty
つまり、大局的にはこのグラフははるか右上とはるか左下に伸びる
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ちなみに、この関数を$ y=x^3と$ y=-xの和とみて、これらの関数のグラフを積み重ねても描ける
方程式$ f(x)=0の解が実数の範囲で存在しない場合は、$ y=f(x)のグラフは$ x軸と交点を持たない
$ f(x)が多項式のとき、$ f(x)=0は重解を持つことがある
その場合は$ y=f(x)のグラフは、重解の$ xで$ x軸と接する
4.7 表計算ソフトでグラフを描く
4.8 関数のグラフと不等式の解
実用の場面で、複数の関数同士の大小関係が問題になることはよくある
たとえば二つの作物の生産量が、それぞれ気温の関数として表された時、どの気温ではどちらの作物のほうが生産量が多くなるか
例4.13
$ x+2<2x-1という不等式を満たす$ x
式変形すると$ 3<xとなるので、この不等式は$ xが$ 3より大きな値で成立する
例4.14
$ x^2-x-2<0\qquad(4.22)
式変形すると$ (x-2)(x+1)<0
式3.12より$ x-2と$ x+1は片方が負で片方が正のはず
明らかに$ -2<1だから$ x-2<x+1
小さい方が負、大きいほうが正になるから$ x-2<0かつ$ 0<x+1
これを整理して$ -1<x<2
以下の定理が成り立つ
2次方程式$ ax^2+bx+c=0が$ x=\alphaと$ x=\betaという実数解を持つとき($ 0<aかつ$ \alpha<\betaとする)、2次方程式
$ ax^2+bx+c=0\qquad(4.23)
の解は$ \alpha<x<\betaであり、不等式
$ ax^2+bx+c>0\qquad(4.24)
の解は、$ x<\alphaまたは$ \beta<x
例4.15
$ x^2+x+1>0\qquad(4.25)
解はすべての実数
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少し変えた$ x^2+x+1<0\qquad(4.26)
これは解なし
よくある間違い:$ \frac{-1-\sqrt3i}{2}<x<\frac{-1+\sqrt3i}{2}
この式には意味がない
不等式はふつう、実数の範囲で考える
式(4.26)はグラフを使わなくても以下のように解ける
平方完成
$ (x+\frac{1}{2})^2+\frac{3}{4}\qquad(4.27)
$ (x+\frac{1}{2})^2は$ xがどんな実数値をとっても$ 0以上だから、この式は常に$ 3/4以上
ということは、この式はマイナスになりえない
したがって解なし
このように、「左辺=0」が実数解を持たないような2次不等式は、式(4.27)のように平方完成して考えればよい
問73 (3) $ \frac{x+1}{x-1}>0
分母が$ 0になると困るので$ x\neq1を前提として、両辺に$ (x-1)^2をかける
$ x-1を両辺にかけてしまうと、$ xが$ 1より小さい時に不等号が逆転してしまうので面倒
4.9 偶関数・奇関数
関数$ f(x)が恒等的に
$ f(-x)=f(x)\qquad(4.28)
関数$ f(x)が恒等的に
$ f(-x)=-f(x)\qquad(4.29)
$ f(x)=-f(-x)と変形して覚える人がいるが、奇関数の性質を証明する時に使いづらく、面倒
偶関数や奇関数は、他の関数よりも何かと扱いが楽
何か関数を相手にするときは、まずその関数が偶関数や奇関数か調べる
偶関数のグラフは$ y軸に関して対称
たとえば$ y=x^2
奇関数のグラフは原点に関して対象
たとえば$ y=axや$ y=\frac{1}{x}や$ y=x^3-x
問76 以下を証明せよ
(1) 偶関数と偶関数の積は偶関数
$ f_1(x), f_2(x)を任意の偶関数、$ g_1(x),g_2(x)を任意の奇関数とする
定義より、
$ f_1(-x)=f_1(x), f_2(-x)=f_2(x)
$ g_1(-x)=-g_1(x), g_2(-x)=-g_2(x)
$ F(x)=f_1(x)f_2(x)とすると、$ F(-x)=f_1(-x)f_2(-x)=f_1(x)f_2(x)=F(x)
(2) 奇関数と奇関数の積は偶関数
$ F(x)=g_1(x)g_2(x)とすると、
$ F(-x)=g_1(-x)g_2(-x)=\{-g_1(x)\}\{-g_2(x)\}=g_1(x)g_2(x)=F(x)
(3) 偶関数と奇関数の積は奇関数
$ F(x)=f_1(x)g_1(x)とすると
$ F(-x)=f_1(-x)g_1(-x)=f(x)\cdot\{-g_1(x)\}=-f_1(x)g_1(x)=-F(x)
(4) 偶関数と偶関数の和は偶関数
$ F(x)=f_1(x)+f_2(x)とすると
$ F(-x)=f_1(-x)+f_2(-x)=f_1(x)+f_2(x)=F(x)
(5) 奇関数と奇関数の和は奇関数
$ F(x)=g_1(x)+g_2(x)とすると
$ F(-x)=g_1(-x)+g_2(-x)=-g_1(x)-g_2(x)=-F(x)
(6) 偶関数と奇関数の和は、偶関数でも奇関数でもなくなることがある
たとえば偶関数$ y=1と奇関数$ y=xの和$ y=1+xは偶関数でも奇関数でもない
問77 以下の関数について、偶関数か、奇関数か、いずれでもないか判定せよ
$ f(x)=\left\{(1+x^2+x^4)^3+\frac{1}{x^2+x^4}\right\}^8\qquad(4.30)
複雑な関数のグラフは描くのが難しいので式(4.28)と式(4.29)が大切
4.10 合成関数
2つの関数$ f(x),g(x)を考える
ある数を$ f(x)に入れると別の数が返ってくるが、その返ってきた数を次に$ g(x)に入れると、さらに別の数が返ってくる
このように2つの関数$ f(x),g(x)を段階的に続けて使うことで、新たな関数ができる
それを「$ f(x)と$ g(x)の合成関数」といい、$ g(f(x))と書く 例4.16 $ f(x)=x+1, g(x)=x^2という2つの関数の合成関数を考える
たとえば$ x=1について
$ f(1)=1+1=2, g(2)=2^2=4
したがって、$ g(f(1))=4
合成関数は2段目の関数の独立変数$ xに1段目の関数を代入したもの
この場合は
$ g(f(x))=g(x+1)=(x+1)^2\qquad(4.31)
$ x=1を入れるとたしかに$ 4になる
式(4.31)は$ g(f(x))=\{f(x)\}^2=(x+1)^2と考えても同じ結果になる
ところで、合成の順序を変えると、違った合成関数になることに注意
$ f(g(x))=f(x^2)=x^2+1\qquad(4.32)
単純な関数を合成することで、多種多様な関数を作ることができるし、複雑な関数を単純な関数の合成関数とみなすことで、複雑な関数をうまく扱うことができる
この考え方は微分や積分で活躍する
4.11 関数についての細かい話
関数$ y=\frac{1}{x}は$ x=0では値を持たない
「無限大でもよくね?」→数学では「無限大」は値ではないとみなす
もし仮に「無限大」としても、原点のちょっと右では正の無限大、左では負の無限大に行くので、どちらかに決まらず矛盾する
ある$ xで「関数が値を持たない」ような場合、その$ xでは「関数は定義されない」という
「関数$ y=\frac{1}{x}の定義域は$ 0を除く全ての実数」
関数$ y=\frac{1}{x}の値域も「$ 0を除く全ての実数」
関数のグラフがつながっているとき、その関数はそこで連続である、という
「$ x<0では$ y=0とし、$ 0\leq xでは$ y=1とする」という関数は、$ x=3や$ x=-1では連続だが、$ x=0では連続でない(不連続である)
ガチの数学では「連続」は「極限」の概念を使ってもっと厳密かつ抽象的に定義する 4.12 逆関数
一般に関数$ y=f(x)の$ xと$ yを入れ替えできる関数$ y=g(x)を、関数$ f(x)の逆関数と呼ぶ(定義) 逆関数のイメージ
$ y=f(x)で変換された数を、変換前の数に戻すのが逆関数$ y=g(x)
そう考えると、逆の立場も言える
逆関数ともとの関数は定義域と値域がひっくりかえることもわかるだろう
もとの関数の定義域が逆関数の値域になり、もとの関数の値域が逆関数の定義域になる
ところがここに困った例がある
例4.20
関数$ y=x^2の逆関数$ x=y^2
すると$ y=\pm\sqrt xになってしまう
たとえば$ x=4のとき$ y=\pm2
これは関数とは言えない
「なにか決まったひとつの数を返すような対応関係
このような困難が起きたのは、もとの関数$ y=x^2が、複数の$ xの値に対して同じ$ yの値を取りえたから
「逆関数」は、このような状況では考えることができない
つまり、逆関数は、独立変数と従属変数が1対1に対応する関数だけで考えるのが約束
この約束は定義域を限定すればなんとかなることが多い
関数$ y=x^2については$ 0\leq xに限定すれば、$ y=\sqrt xがその逆関数になる
逆関数にはひとつ面白い性質がある
$ f(x)と$ g(x)が互いに逆関数であるとき, 恒等的に
$ g(f(x))=f(g(x))=x\qquad(4.33)
となる
$ f(x)は$ xを別の数に移す関数だが、逆関数$ g(x)はそれをもとの数に戻す関数
例4.21 関数$ y=2xの逆関数は$ y=\frac{x}{2}
前者を$ f(x)、後者を$ g(x)とする
$ f(g(x))=2g(x)=2\times\frac{x}{2}=x\qquad(4.34)
$ g(f(x))=\frac{f(x)}{2}=\frac{2x}{2}=x\qquad(4.35)
$ f(x)と$ g(x)が互いに逆関数であるとき、$ y=g(x)は$ x=f(y)と同じことだから、$ y=f(x)のグラフにおいて$ x軸と$ y軸を取り替えたものだが$ x=f(y)つまり$ y=g(x)のグラフになる
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グラフ上で$ x軸と$ y軸を取り替えるときに、直線$ y=x上の点は不変
したがって、逆関数のグラフはもとの関数のグラフを直線$ y=xに関して対称移動したもの
まったく別の概念
例.$ y=2x
逆関数: $ y=\frac{x}{2}
逆数: $ y=\frac{1}{2x}
逆関数が自分自身になる関数は多いが、逆数が自分自身になる数は$ 1と$ -1しかない
逆関数も、多様な関数を理解し、扱う上で重要な概念
ある関数が、既によく知られた関数の逆関数であれば、その関数の性質を使って「ある関数」の性質を知ることができる
4.13 陰関数
関数と言えば$ y=f(x)という形の対応関係
$ x^2+y^2-1=0のように、$ xと$ yが混在するような2変数関数が$ 0に等しい、という4季でも、いちおう$ xの値を与えれば$ yは決まる
このように、$ xと$ yの2変数関数$ F(x,y)について、$ F(x,y)=0という方程式で$ xと$ yが対応する場合、この対応関係を陰関数と呼ぶ(定義) 問81$ rを正の実数の定数とする。陰関数
$ x^2+y^2-r^2=0\qquad(4.36)
のグラフは(ただし$ r>0とする)、原点を中心とする半径$ rの円になることを示せ 三平方の定理より$ x^2+y^2は原点から点$ (x,y)までの距離の2乗 与式より、これが$ r^2に常に等しいので、原点から各点までの距離は常に一定値$ r
陰関数を式変形すれば$ y=f(x)の形にすっきり整理できることもあるが、多くの場合は難しい
式(4.36)は$ y=\pm\sqrt{r^2-x^2}と変形できるが、右辺の$ \pmが困る
そもそも関数は$ xの値が与えられたら$ yのひとつの値を対応付けねばならない
したがって、陰関数は厳密な意味では関数ではない
ある意味、関数を拡張した概念
陰関数にもグラフの対称性や平行移動、拡大と言った考え方が適用できる
たとえば、ある陰関数$ F(x,y)=0のグラフを$ x軸の正の方向に$ a、$ y軸の正の方向に$ bだけ平行移動すると、$ F(x-a,y-b)=0のグラフになる
4.14 関数のグラフを描く手順
1) 定義域をチェック
$ \frac{1}{x}のように割り算が入った関数は「$ 0での割り算」で関数が途切れる
陰関数は$ xのとりうる範囲がかなり限定されることもある
$ x^2+y^2=1は$ -1\leq x \leq 1でしか定義されない
2) $ y軸や$ x軸との共有点を調べる($ x=0での$ yや$ y=0での$ x)を調べる
それぞれが無いとき(虚数解のとき)はグラフはその軸を通らない
3) 関数の対称性を調べる
$ xを$ -xにしてみたり$ yを$ -yにしてみたり
4) よく知っている関数の平行移動や拡大、縮小、対象移動、和などにならないか調べる
5) $ xや$ yが$ \inftyや$ -\inftyに行く際の様子を調べる
6) $ xに適当な(計算しやすい)値をいくつか代入して$ yの値を求め、プロットしてみる